みなさんは「地方交付税交付金」という言葉を聞いたことがありますか?
普段の生活ではあまり意識する機会がありませんが、実は私たちの暮らしを支える大切なお金の仕組みなんです。
地方交付税交付金は、地方自治体の財源不足を補うために国が交付するお金のことです。日本の地方自治体は、都市部のように税収が多いところもあれば、人口が少なく税収が乏しいところもあります。そのままでは、地域によって行政サービスの水準に大きな格差が生じてしまいます。そこで国が財源を調整し、どの地域でも最低限の行政サービスを提供できるようにする仕組みが地方交付税交付金です。
地域によって違う「税収の差」
日本の自治体は、都市と地方で税収に大きな差があります。
- 東京や大阪などの大都市 → 人口も企業も多く、税収が豊か
- 人口が少ない地方や過疎地 → 住民税や法人税収入が乏しい
この差をそのままにしてしまうと、教育や福祉、道路整備といった行政サービスの質に地域ごとの格差が生まれてしまいます。
そこで登場するのが 地方交付税交付金 です。
これは国が一度集めた税金の一部を、財源が不足している自治体に分配する制度。どこに住んでいても、ある程度同じ水準の行政サービスを受けられるようにするための仕組みです。
この交付金の財源は国税です。所得税や法人税、消費税、酒税、たばこ税などの一部が原資となり、国から地方へ回されます。
交付の額 どうやって配分が決まるの?
交付額は、次の2つを比べて決められます。
- 基準財政需要額:その自治体が教育・福祉・消防・道路などを運営するのに必要な費用
- 基準財政収入額:その自治体が標準的に集められると想定される税収
この二つを比較して、必要な費用に対して収入が不足していれば、その差額を地方交付税交付金として国が交付します。
多くの自治体は税収が不足している
多くの自治体は税収が不足しているため「交付団体」として交付金を受け取っていますが、東京23区の一部や大都市のように税収が豊かな自治体は「不交付団体」とされ、交付金を受け取りません。
地方交付税交付金の大きな意義は、全国どこに住んでいても一定水準の行政サービスを受けられるようにすることにあります。財源が乏しい自治体でも教育や福祉、公共サービスを安定して提供できるように、国が財政を補って支えているのです。
地域間の財源に関わる制度 ふるさと納税
ここ数年で一気に身近になった「ふるさと納税」。
お肉やお米、海産物などの返礼品が人気で、利用している人も多いと思います。
でも「なぜそんなお得なの?」「どこに税金を払っているの?」と疑問に思う方も多いはず。
この記事では、ふるさと納税の仕組みやメリット、そして課題までわかりやすく解説します。
まず押さえておきたいのは、ふるさと納税は「納税」という名前がついていますが、実際には 寄附制度 だということです。
- 応援したい自治体に寄附をする
- その寄附額から 自己負担2,000円 を引いた金額が、翌年の所得税や住民税から控除される
例えば3万円を寄附すれば、2,000円を除いた28,000円が翌年の税金から差し引かれる仕組みです。
ふるさと納税のメリット
- 納税者にとって
- 実質2,000円で全国の特産品を楽しめる
- 自分の意思で応援したい地域を選べる
- 自治体にとって
- 財源を確保できる
- 特産品を全国にPRでき、地域振興にもつながる
一方で課題もあります。
- 都市部の税収流出
住民がふるさと納税を利用すると、住んでいる自治体の住民税収入が減ってしまいます。大都市ではこれが大きな問題になっています。 - 返礼品競争
高額な返礼品や地域性の薄い品が増えたため、国(総務省)が「返礼品は寄附額の3割以内・地場産品に限定」というルールを設けました。
地方交付税との違い
よく混同されがちなのが「地方交付税交付金」。
こちらは国が全国の自治体の税収格差を調整するために自動的に配分する仕組みです。
一方、ふるさと納税は 納税者が自分で寄附先を選べる制度。
国の調整による「公平性」と、個人の意思による「応援」の違いが大きなポイントです。


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