ネットワークネットワークとは?身近な仕組みをわかりやすく解説ネットワーク

スマホ

ネットワークとは「複数のコンピュータや機器をつなげて、情報やデータをやり取りできるようにした仕組み」です。「ネットワーク」という言葉は、実はもともと英語の net(網) と work(仕組み・構造)を組み合わせたものです。

net(網)
ロープや糸を張り巡らせて作られる「網」を意味し、多くの点がつながるイメージを持ちます。

work(仕組み・構造)
単なる「働き」だけでなく、「構造物」「体系」という意味合いもあります。

この二つが合わさり、「網のように組み合わさった仕組み」= network という表現が生まれました。

◆スマホのネットワークの仕組み

私たちが毎日使っているスマートフォン。外でも家でも当たり前のようにネットにつながりますが、その裏には緻密な仕組みがあります。今回は、モバイル回線とWi-Fiの違い屋内がつながりにくい理由、そして移動中でも切れない秘密であるセルラー方式とハンドオーバーについて分かりやすく解説します。


スマホ通信の2本柱 ― モバイル回線とWi-Fi

スマートフォンの通信は、大きく分けて モバイル回線Wi-Fi の二つを基盤としています。

一つ目は:モバイル回線(携帯会社のネットワーク)

モバイル回線は、スマホのSIMカードを通じて契約情報が読み取られ、近くの基地局と直接通信し、キャリアのネットワークを経由して相手やインターネットのサーバーへとつながります。外出中や移動中でも利用でき、スマホ単体で完結するのが特徴ですが、使ったデータ量に応じて料金が発生し、契約を超えると速度制限がかかる場合があります。

  • 仕組み
    スマホのSIMカードに記録された契約情報をもとに、最寄りの基地局と直接通信。そこからキャリアのネットワークを経由し、インターネットへ接続します。
  • 特徴
    全国どこでも、基地局の電波が届けば利用可能。外出先や移動中でも安定した通信ができ、スマホ単体で完結するのが強み。
  • デメリット
    契約プランに応じて通信量に制限があり、超過すると速度制限がかかる場合があります。

2つ目はWi-Fi(無線LAN)

Wi-Fiは、自宅やオフィスに引き込んだ光回線をONUやルーターを通じて分配し、その電波をスマホがキャッチしてインターネットに接続する仕組みです。大容量通信に強く、動画視聴やオンラインゲーム、テレワークに適しており、通信量を気にせず使えるのが利点です。ただし、利用できるのはルーターの電波が届く範囲に限られます。

  • 仕組み
    自宅やオフィスに引き込んだ光回線などをONU・ルーターで分配し、スマホがその電波をキャッチしてインターネットに接続します。
  • 特徴
    通信量を気にせず使える(使い放題が多い)、高速・大容量通信に強く、動画やオンラインゲーム、テレワークにも最適。
  • デメリット
    利用できるのはルーターの電波が届く範囲のみ。設置機器が必要です。

外出先ではモバイル回線、自宅ではWi-Fiを使うのが賢い組み合わせ方です。


2. 屋内がつながりにくい理由

屋内で電波が弱くなったり圏外になるのは、コンクリートや鉄筋、金属を含む壁、あるいは特殊ガラスが電波を遮ったり反射するためです。地下街や地下鉄では地面自体が電波を遮断してしまいます。

この弱点を補うために、通信事業者は建物の奥まで届きやすい低周波数帯(700〜900MHz帯)の電波を使ったり、ビルや商業施設内に小型基地局や中継装置を設置する工夫をしています。


3. 「圏外」と「遅い」はどう違う?

「つながらない」と感じるときも原因は二種類あります。

ひとつは圏外で、基地局からの電波が届いていない、または極端に弱い状態です。山奥や地下深部などで起こりやすい現象です。

もうひとつは遅い状態で、電波は届いているものの、利用者が集中していたり電波干渉が発生して速度が出ない場合です。駅のホームやイベント会場などでよく見られます。つまり、圏外は「電波がない」、遅いは「電波はあるが混雑している」という違いです。

  • 圏外:基地局の電波が届いていない、または弱すぎて通信が成立しない状態(例:山奥や地下深部)。
  • 遅い:電波はあるが、利用者の集中や電波干渉で速度が出ない状態(例:駅のホームやイベント会場)。

4. セルラー方式で移動中も快適

モバイル回線を支える仕組みがセルラー方式です。基地局ごとにカバー範囲(セル)を設定し、それを蜂の巣のように隙間なく配置することで、移動中でも通信が切れにくくなっています。

そして、通信が切れずに基地局を切り替えられるのはハンドオーバーという仕組みのおかげです。これは、スマホが周囲の電波を測定し、その情報を基地局に報告し、切替準備とコマンドを経て実行、最後に経路を切り替えるという流れで行われます。

判断にはRSRP(電波の強さ)、RSRQ(品質)、SINR(信号対雑音比)といった指標が使われ、ヒステリシスやTTTといった工夫によって無駄な切替や途切れを防いでいます。


※キャリア局舎での処理と安全性

基地局で受け取った通信は、光ファイバーを通じてキャリアの局舎へ送られます。そこで契約者の認証、暗号化・復号化、通信経路の振り分けなどが行われ、安全かつ効率的に相手へ届けられます。


※ハンドオーバー ― 移動中でも切れない秘密

電車や車で移動しても通話や通信が続くのは、ハンドオーバーのおかげです。

  • 流れ:測定 → 報告 → 準備 → コマンド → 実行 → 経路切替
  • 判断基準:RSRP(電波の強さ)、RSRQ(品質)、SINR(信号対雑音比)
  • 工夫:ヒステリシス(わずかな差では切替しない)、TTT(条件が一定時間続いたら切替)

これにより、無駄な切替や通信断を防ぎ、シームレスな通信を実現しています。

インターネットはどうやって家に届くの? ― 回線業者とプロバイダの役割

インターネットを家庭で利用するには、プロバイダ(ISP)だけでは不十分で、回線業者の存在が欠かせません。回線業者は全国に通信ビル(局舎)を持ち、そこから電柱や地下ケーブルを通じて光ファイバーを各家庭やマンションまで届けます。この区間は「足回り線」と呼ばれ、利用者とインターネットをつなぐ重要な部分です。回線業者は高速道路を建設・維持する会社にたとえられ、NTT東日本・西日本(フレッツ光)、KDDI(auひかり)、電力会社系(コミュファ光、eo光など)が代表的です。


1:回線業者とは? ― 光の道路をつくる会社

まず欠かせないのが 回線業者
NTT東日本・西日本の「フレッツ光」やKDDIの「auひかり」、電力会社系の「コミュファ光」「eo光」などが代表的です。

  • 役割を一言でいうと 「光の高速道路をつくる会社」
  • 家やオフィスまで光ファイバーを敷設し、維持管理することで通信の基盤を整えています。

この区間は「足回り線」と呼ばれ、インターネットを家庭に届ける最後の要所。これがなければプロバイダと契約してもネットはつながりません。


2:家に届くまでの流れ

インターネットが家庭に届く流れは、まず局舎から光ファイバーが出発し、電柱や地下管路を通って住宅街に運ばれます。そこから戸建て住宅なら外壁経由で宅内に、マンションなら共用の配線室(MDF室)を経て各部屋に分配されます。最終的に「光コンセント」に到達し、ONU(光回線終端装置)で光信号を電気信号に変換して、ルーターを通じてPCやスマホがインターネットに接続されます。

インターネットが家庭に入るまでには、ステップ

  1. 局舎(通信ビル)から出発
    全国・国際の光ファイバー幹線とつながる地域の拠点。
  2. 電柱や地下管路を通って住宅街へ
    都市部では地下ケーブル、地方では電柱がよく使われます。
  3. 引き込み線で自宅へ直結
    戸建てなら外壁から宅内へ、マンションなら共用MDF室を経由して各部屋へ。
  4. 光コンセントに到着
    最後にONU(光回線終端装置)が光信号を電気信号に変換し、ルーターを介してPCやスマホに届きます。

まさに「道路 → 分岐 → 家の前 → 玄関」というイメージです。


3:プロバイダとは? ― ネットの入り口をつなぐ会社

次に登場するのが プロバイダ(ISP)
回線業者が作ったを通じて、実際にインターネットへ接続するサービスを提供します。

プロバイダは回線業者の整えた光の道路(光ファイバー)を通じて、実際にインターネットへの接続サービスを提供します。具体的には、利用者認証のためのIDやパスワード発行、IPアドレスの割り当て、データを届ける経路の提供などを担っています。さらに、メールアドレスやセキュリティサービス、レンタルサーバーといった付加サービスも提供します。プロバイダ同士は相互に接続(ピアリング)することで、世界規模の通信が可能になります

  • 接続の認証(ユーザーID・パスワード発行)
  • IPアドレスの割り当て(ネット上の住所)
  • データの経路提供(送受信を仲介)

さらに、メールアドレスや迷惑メールフィルタ、ウイルスチェック、サーバーレンタルなどのサービスも提供しています。


4:プロバイダの規模による違い

プロバイダには規模の違いがあり、小規模プロバイダは地域密着でサポートが丁寧ですが回線速度が不安定になりやすい特徴があります。中規模はある程度の設備を持ち、安定性も確保。大規模は全国展開し巨大なネットワークを持ち、安定した高速通信が可能ですが、サポートはやや画一的です。代表例はOCN、BIGLOBE、So-netなどです。

  • 小規模プロバイダ
    地域密着型でサポートが丁寧。ただし混雑時は速度が落ちやすい。
  • 中規模プロバイダ
    複数地域で展開し、自社設備を持つこともあり安定度は高め。
  • 大規模プロバイダ
    OCN、BIGLOBE、So-netなど。全国に自前のネットワークを持ち、高速・安定。ただしサポートは事務的になりがち。

5:光コラボレーションって何?

「光コラボレーション」とは、NTTが全国に敷設したフレッツ光の回線を他の事業者に卸し、その事業者が自社ブランドとして利用者に提供する仕組みのことです。ドコモ光、ソフトバンク光、OCN光、BIGLOBE光などがその代表例で、利用者は回線契約とプロバイダ契約をまとめて一括で行うことができます。

  • 例:ドコモ光、ソフトバンク光、OCN光、BIGLOBE光 など

この仕組みの大きなメリットは、契約や支払いが一本化されるため手続きがシンプルになる点です。さらに、携帯電話とのセット割引や事業者独自のポイント還元サービスを受けられる場合もあり、料金面でもお得になることがあります。

一方で注意点もあります。乗り換えを行う場合には「事業者変更手続き」が必要となり、従来より手続きがやや複雑になるケースがあります。また、利用している回線自体は同じNTTの光ファイバーですが、混雑状況や通信品質は契約した事業者の設備や運用に左右されるため、事業者によって速度や安定性に差が出ることがあります。

◆LANとは? 有線LANと無線LAN(Wi-Fi)の違いと仕組みを

LAN(ローカルエリアネットワーク)とは、家庭やオフィスなど限られた範囲で機器同士をつなぐ仕組みのことです。LANには大きく分けて「有線LAN」と「無線LAN(Wi-Fi)」があります。

有線LAN

有線LANはLANケーブルを使ってパソコンやテレビ、ゲーム機などを接続する方式です。電波ではなくケーブルを通じて直接通信するため、安定性と速度に優れているのが特徴です。

1Gbpsや10Gbpsに対応するケーブルを使えば大容量データも快適にやり取りでき、遅延が少ないためオンラインゲームやビデオ会議などリアルタイム性が必要な用途に適しています。ただし、配線が必要になるため取り回しが不便で、利用できる範囲もケーブルの届く範囲に限られます。

  • メリット
    • 電波干渉を受けず通信が安定
    • 常に一定の速度を確保できる
    • 1Gbpsや10Gbps対応ケーブルなら大容量通信も快適
    • 遅延が少なく、オンラインゲームやビデオ会議に最適
  • デメリット
    • ケーブル配線が必要で見た目や設置が煩雑になりやすい
    • ケーブルの届く範囲でしか利用できない

無線LANを内蔵していないPCや機器でも、

  • USB無線LANアダプター
  • PCIeカード
  • イーサネットコンバーター

などを追加すれば、簡単にWi-Fiが使えるようになります。
特にUSBタイプは差すだけで使える手軽さがあり、最も一般的な方法です

無線LAN(Wi-Fi)

無線LAN(Wi-Fi)はケーブルを使わず、電波でルーターと端末をつなぐ仕組みです。スマホやタブレットを自由に持ち歩いて接続できるため、現在では家庭やオフィスで欠かせない存在になっています。

通信の流れは、スマホやPCがWi-Fiルーターに接続し、そこからONU(光回線終端装置)を経由して光コンセントにつながり、通信事業者のビルを通ってインターネット全体へと広がります。

Wi-Fiは複数の機器を同時に接続でき、通信量を気にせず使えるのが利点ですが、電波干渉や壁・床の遮蔽物によって速度が不安定になることがあります。

このとき重要な役割を担うのがONUです。光回線の信号は光の点滅パターンで伝わっており、そのままではパソコンやルーターは理解できません。ONUは外から届いた光信号をLANケーブルで扱える電気信号に変換し、逆に家庭からの電気信号を光信号に戻して外へ送ります。つまり、光と電気の橋渡しをする通訳機のような存在です。

よく混同されますが、ONUとルーターは役割が異なります。ONUは光と電気信号の変換を担当し、ルーターは家庭内の複数の機器にIPアドレスを割り振り、データの行き先を管理します。この二つを組み合わせることで、スマホやPC、ゲーム機などが同時にインターネットへ接続できるのです。

■Wi-Fi通信の流れ

  1. デバイス:スマホやPCがSSIDを選び、パスワードで認証
  2. Wi-Fiルーター:電波を受け取り、LANケーブルでONUに接続
  3. ONU:光信号を電気信号に変換(逆も同様)
  4. 光コンセント:家庭と外部の光ファイバー網を接続
  5. 通信事業者のビル:大量の通信を制御し、インターネット全体へ

■パスワードが必要な理由

Wi-Fiの電波は空間に飛んでいるため、近くにいる人なら受信できます。パスワードを設定しないと、不正利用や盗聴のリスクがあります。そのため、SSIDとパスワードで認証・暗号化することが必須です。


■ONUとルーターの違い

光回線を使うには ONU(光回線終端装置) が不可欠です。光信号を電気信号に変換し、逆に電気信号を光信号に戻す役割を持ちます。ONUは「光と電気の通訳機」のような存在です。

  • ONU:光信号 ⇔ 電気信号の変換
  • ルーター:家庭内の機器にIPアドレスを割り振り、通信の経路を管理

この2つを組み合わせることで、複数のスマホ・PC・ゲーム機が同時にインターネットに接続できます。


通信速度・Wi-Fi規格・周波数帯・プラチナバンドを徹底解説

インターネットを使うとき、よく目にする「1Gbps」「Wi-Fi 6」「5GHz帯」「プラチナバンド」などの言葉。
なんとなく分かった気になっても、実際には違いがよく分からない…という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、インターネットの基礎知識をまとめて分かりやすく整理します。


■通信速度の単位 ― bpsとは?

インターネットの速さを表す基本単位が bps(bits per second) です。
これは「1秒間に何ビット(0と1のデータ)を送受信できるか」を示しています。

  • 1Mbps → 1秒間に100万ビット送れる速さ
  • 1Gbps → 1秒間に10億ビット送れる速さ

つまり「Mbps」や「Gbps」の数字が大きいほど、より速く大量のデータをやり取りできるということです。


bpsは 水道の水量 に似ています。蛇口から出る水の量が多ければ(Gbpsが大きければ)、一度にたくさんのデータを流せるイメージです。


■Wi-Fiの通信規格 ― 世代ごとの進化

Wi-Fiは「IEEE 802.11」という国際標準規格に基づいており、世代ごとに進化してきました。
最近は「Wi-Fi 4」「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」といった分かりやすい名前が使われています。

規格呼び方周波数帯最大速度特徴
802.11b2.4GHz11Mbps初期規格。今はほぼ使われない
802.11g2.4GHz54Mbps家庭で普及した世代
802.11nWi-Fi 42.4/5GHz600Mbps複数アンテナ「MIMO」で高速化
802.11acWi-Fi 55GHz6.9Gbps現在も主流。高速で安定
802.11axWi-Fi 62.4/5GHz9.6Gbps多人数接続や省電力に強い
802.11beWi-Fi 72.4/5/6GHz46Gbps次世代。8K映像やVRに対応

新しい規格になるほど「速さ・安定性・多機器対応力」が強化されています。


周波数帯の違い ― 2.4GHz / 5GHz / 6GHz

Wi-Fiの電波は「波」であり、1秒間に何回振動するかを表すのが 周波数(Hz) です。
単位は Hz(ヘルツ)、1GHzなら「1秒間に10億回振動」していることになります。

Wi-Fiが使うのは主に次の3つ。

周波数帯特徴向いている用途
2.4GHz遠くまで届き、壁にも強い。ただし速度は遅く混雑しやすい家全体のカバー、古い機器
5GHz高速で安定。混雑に強い。ただし直進性が強く壁に弱い高画質動画、ゲーム、会議
6GHz最新帯域。超高速・低遅延・混雑に強いが届く距離は短いVR/AR、8K映像、最新デバイス
  • 2.4GHz → 自転車:遠くまで行けるけど遅い
  • 5GHz → 車:速いけど道(直線)が必要
  • 6GHz → 新幹線:超高速だが駅(対応機器)が限られる

プラチナバンドとは?

携帯電話の通信で重要なのが プラチナバンド
これは 700MHz〜900MHzの低い周波数帯 のことで、特に「つながりやすい電波」として知られています。

  • 遠くまで届きやすい → 山間部や郊外でも安定
  • 建物の中に強い → 壁や床を通り抜けやすく、地下街やビルでもつながりやすい
  • 広いエリアをカバー → 1つの基地局で大きな範囲をカバーできる

都市部ではビルに遮られて圏外になりやすいですが、プラチナバンドなら屋内でも電波が届きます。
地方では、少ない基地局で広範囲をカバーできるので、インフラ整備コストも抑えられます。

携帯キャリアが「つながりやすさ」をアピールするとき、実はこのプラチナバンドの有無が大きく関わっているのです。



インターネットの快適さは、数字や規格の違いを理解して選ぶことでグッと変わります。
次にWi-Fiルーターやスマホを選ぶときは、「bps」「規格」「周波数帯」「プラチナバンド」の4つを意識してみてくださいね。

ネットの基礎まるわかり:IPアドレス/ドメインとDNS/クライアント・サーバー/SSID/プロトコル/OSI・TCPIP

インターネットの世界で通信を成り立たせているのが、IPアドレスやドメイン名、プロトコルといった基礎的な仕組みです。

IPアドレスはネット上の「住所」にあたり、機器を識別してデータの行き先を決めるための番号です。例えば現実で手紙を出す際に住所が必要なように、ネットの通信でも送り主と宛先のIPアドレスを指定することでデータが正しく届きます。

現在広く使われているのはIPv4という32ビットの方式ですが、数に限りがあり枯渇が問題となりました。その解決策として128ビットのIPv6が登場し、事実上無限に近い数のアドレスを割り当てられるようになっています。IPアドレスには、世界で一意に割り当てられるグローバルIPと、家庭や会社内だけで使われるプライベートIPがあり、ルーターはNATという仕組みで複数の機器をひとつのグローバルIPを通じて外部に接続させています。

割り当て方法は通常DHCPによって自動的に決まり、利用者が意識する必要はほとんどありませんが、サーバー運用では固定IPを利用して安定性を確保することもあります。


1. IPアドレス:ネット上の「住所」

IPアドレス(Internet Protocol Address) は、機器を識別しデータの行き先を決める番号=住所

  • 役割
    • 識別:ネットワーク上でPC/スマホ/プリンタなどを区別
    • 配送:送信元・宛先を指定してデータ(パケット)を届ける
  • 種類
    • IPv4:32ビット(例:192.168.1.10)。約43億個で枯渇が課題
    • IPv6:128ビット(例:2400:aaaa::1234)。ほぼ無尽蔵でIoT時代向き
  • スコープ
    • グローバルIP:インターネットで唯一の住所(ISPから割当)
    • プライベートIP:宅内・社内専用(192.168.x.x / 10.x.x.x など)
      → ルーターの NAT/PAT が複数端末を1つのグローバルIPで外へ出す
  • 割り当て
    • DHCP:自動でIPやDNSを配布(家庭はこれが標準)
    • 固定IP:サーバー公開など“同じ住所が必要”な用途に

2. ドメイン名とDNS:数字の住所に「名前」を

数字だけのIPアドレスは人間にとって扱いにくいため、これを文字に対応させたものがドメイン名です。例えば「google.com」という名前は、裏側で特定のIPアドレスと結びついています。この変換を担うのがDNSで、

いわばインターネットの電話帳のような存在です。ドメイン名は右から左へ階層構造になっており、.comや.jpといったトップレベルドメイン、その左に来るセカンドレベルドメイン、さらにサービスごとに分けるサブドメインで構成されます。DNSは端末からの問い合わせに応じ、段階的に正しいIPアドレスを返すことで通信が成立しています。

  • 階層構造(右→左)
    • TLD.com / .jp / .org など
      • gTLD(汎用):.com .org .net
      • ccTLD(国別):.jp .us .uk
    • セカンドレベルexample.comexample
    • サブドメインmail.example.commail
  • 誰が管理?
    • レジストリ:TLDの公式台帳(登録者の記録)
    • レジストラ:私たちが契約する販売窓口
  • DNSレコードの代表
    • A/AAAA(IPv4/IPv6の住所)/MX(メール先)/CNAME(別名)/TXT(認証など)

3. クライアントとサーバー:リクエストとレスポンス

インターネットのやり取りはクライアントとサーバーの関係で成り立っています。利用者側の機器やアプリケーションをクライアントと呼び、サービスを提供する側のコンピュータをサーバーと呼びます。

両者はリクエストとレスポンスという形でやり取りを行い、クライアントが「このページを表示して」と要求し、サーバーが応じてデータを返すことで通信が成立します。Webサーバー、メールサーバー、ゲームサーバーなど用途ごとに様々なサーバーが存在し、ポート番号という「窓口」を通じて通信が仕分けされています。

  • Webの例
    1. ブラウザがDNSで住所を調べる
    2. サーバーと通信(TCP/UDP/QUIC)
    3. TLSで暗号化 → HTTPS
    4. HTTPで「ページください」→ HTML/CSS/JSが返る
  • ポート番号(玄関口):443(HTTPS)、80(HTTP)、53(DNS)、25/587(SMTP)…
  • 実運用の工夫ロードバランサで分散、CDNで近い場所から高速配信

4. SSIDとは:Wi-Fiの「ネットワーク名」

Wi-Fiに接続するときに表示されるネットワーク名がSSIDです。SSIDがあることで周囲に複数の電波が飛んでいても、自宅や会社のネットワークを区別して選ぶことができます。

接続の際にはSSIDを選び、パスワードを入力することで暗号化通信が行われ、不正利用や盗聴を防ぎます。SSIDには通常利用するメインSSIDのほか、来客用のゲストSSIDや、2.4GHzと5GHzといった周波数帯を区別するSSIDがあり、目的に応じて使い分けられます。

セキュリティ面では、WPA2やWPA3といった強力な暗号化方式と推測されにくいパスワードを設定することが重要です。

  • 役割:ネットワークの識別/接続の目印(SSID+パスワードで認証・暗号化)
  • 種類
    • メインSSID:通常利用
    • ゲストSSID:来客用。宅内LANに入れずインターネットのみ利用可
    • 帯域別_2G(2.4GHz)/_5G(5GHz)/_6G(6GHz)
  • セキュリティTips
    • WPA2-AES以上(推奨:WPA3)、長くて推測困難なパスフレーズ
    • 初期SSID/初期パスは変更、WPSは原則OFF
    • 企業は WPA2-Enterprise(802.1X) で“人単位の認証”が安全

5. プロトコル:会話のルール

通信を成り立たせているのがプロトコルという共通のルールです。プロトコルは「どうやってデータを送るか」「どう順番を管理するか」といった約束事を決めており、異なるメーカーや環境の機器でも問題なくやり取りできるようにしています。

IPは住所を決める役割、TCPは順序や再送制御で確実に届ける役割、UDPは速度を優先して多少の欠落を気にせず送る役割を担っています。

WebではHTTPやHTTPS、メールではSMTPやIMAP、名前解決ではDNS、暗号化ではTLSなど、多様なプロトコルが場面に応じて利用されています。

  • 基礎プロトコル
    • IP:住所指定と配送
    • TCP:順序・再送で確実に届く(“書留”)
    • UDP:速さ重視(多少落ちても続行)=通話/配信/ゲーム向き
  • アプリ層の代表
    • HTTP/HTTPS(Web)/SMTP・IMAP・POP3(メール)/FTP/SFTP(ファイル)
  • 管理・安全
    • DNS(名前→住所)/DHCP(自動アドレス)/TLS(暗号化)
    • ICMP(疎通確認)/ARP/ND(同一ネット内の相手解決)
  • 最近のトピック
    • HTTP/3(QUIC):UDPベースで混雑時にも強く、復帰が速い
    • DoH/DoT:DNS問い合わせ自体を暗号化してのぞき見対策

6. OSI参照モデルとTCP/IPモデル:層で考えると迷わない

通信を理解する枠組みとしてOSI参照モデルとTCP/IPモデルがあります。OSIは理論的に7つの層に分けたモデルで、物理層からアプリケーション層までそれぞれの役割が整理されています。

一方、実際のインターネットで使われているTCP/IPモデルはそれを4層にまとめたシンプルな形です。両者を対応させると、物理層とデータリンク層がネットワークインターフェース層、ネットワーク層がインターネット層、トランスポート層は同じ、セッション・プレゼン・アプリケーション層がアプリケーション層に統合されていることがわかります。

OSI(7層)役割TCP/IP(4層)代表プロトコル・技術
アプリケーションユーザー向けサービスアプリケーションHTTP/HTTPS, SMTP, DNS
プレゼンテーション形式変換/暗号化(アプリ層に統合)TLS, 文字コード
セッション通信の開始/維持(アプリ層に統合)TLSセッション等
トランスポート信頼性・ポートトランスポートTCP, UDP
ネットワーク宛先決定/経路インターネットIP, ICMP
データリンク同一ネット内通信ネットワークIFEthernet, Wi-Fi, MAC
物理信号の送受ネットワークIFLANケーブル, 光, 電波

家庭ネットワークの要:ONUとルーター

家庭のネットワークでは、光回線からの信号を変換するONUと、複数の機器を管理して外部との橋渡しをするルーター、そしてWi-Fiアクセスポイントが組み合わさることで、スマートフォンやパソコン、ゲーム機などが同時にインターネットにつながっています。

  • ONU:光 ↔ 電気の変換器(光と電気の通訳)
  • ルーター:複数機器へIP配布(DHCP)、内外の橋渡し(NAT)、経路管理
  • Wi-Fiアクセスポイント:無線の入り口(SSID・暗号化)

■まとめ

インターネットは、回線業者とプロバイダが整備する外のネットワークと、家庭内のLANやWi-Fiがつなぐ内のネットワークが組み合わさって成り立っています。そこに 住所(IPアドレス)名前(ドメインとDNS)会話のルール(プロトコル) が揃うことで、世界中の機器とスムーズにやり取りできるのです。家庭では ONUとルーター がその要となり、私たちのスマホやPCを快適にインターネットへ導いています。


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