間欠強化

間欠強化(かんけつきょうか)」とは、

ある行動に対して、毎回ではなく、時々だけ報酬(強化子)を与えることを指します。これは心理学、特に行動主義の分野で重要な概念です。


「ときどきしかごほうびを与えないことで、行動を強く維持する」
習慣づけや行動の持続にとても有効で、教育・心理・ビジネスの場面でも使われています。

たとえば、犬が「おすわり」をしたときに、
毎回おやつをあげるのが「連続強化」
何回かに1回だけおやつをあげるのが「間欠強化」です。

ごほうびが毎回じゃないから、「今度ももらえるかな?」と期待して、
その行動をやめにくくなるのです。

ギャンブルやスマホゲームがやめられにくいのも、実はこの仕組みによく似ています。
勝つときと負けるときが混ざっていて、「たまに当たる」からやめにくいのです。


間欠強化の特徴

  • 毎回ではない:行動が起こるたびに報酬を与える「連続強化」とは異なり、時々だけ報酬を与えます。
  • 学習には時間がかかるが、行動の持続力が高くなる(消去しにくい)のが特徴です。

主な4つの間欠強化スケジュール

種類内容
固定比率(FR)一定回数の行動ごとに報酬3回やったら1回報酬(FR3)
変動比率(VR)不規則な回数ごとに報酬スロットマシン(いつ当たるか不明)
固定間隔(FI)一定の時間が経過後、最初の行動に報酬5分ごとに最初の行動に報酬
変動間隔(VI)不規則な時間の経過後、最初の行動に報酬メールの返信:いつ来るかわからない

間欠強化の効果

  • ギャンブル依存などに関与:不規則な報酬が強いモチベーションを生む。
  • 行動の定着に効果的:すぐにやめなくなる。
  • 学習初期には不向き:まずは連続強化で行動を覚えさせるのが一般的。

間欠強化による脳への影響

影響内容
ドーパミン分泌報酬の予測不確実性が脳を刺激し、より多くのドーパミンを放出させる。
習慣化・強化報酬が得られたときの喜びが大きく、不規則な強化は行動を強固にする。
離脱が困難やめようとしても「もしかして何かあるかも…」という期待でまた開いてしまう。

間欠強化と退屈の関係

退屈とは「刺激がない状態」

  • 脳にとって退屈とは、予測できる・変化がない・報酬がない状態
  • 本来、退屈は「新しい刺激を探すためのサイン

スマホは即座の刺激を与える

  • SNSやゲーム、動画などは間欠的に予測できない報酬を提供。
  • 脳は「次は何か起きるかも…」と期待し、退屈になるたびにスマホを見る。
  • つまり、退屈 → スマホ → ランダム報酬というループが形成される。

退屈への耐性が低下していく

  • 間欠強化に慣れると、「じっとしてるだけ」や「刺激の少ない環境」が耐えられなくなる。
  • 数分の待ち時間すらスマホを手に取ってしまうのはこのため。

間欠強化で「退屈を避ける脳」になると…

結果内容
注意持続が難しくなる退屈=悪と認識し、新しい刺激に即切り替える
深い集中力が育たない間断ない刺激に慣れ、単調な作業が苦手に
習慣的スマホ依存退屈と感じるたびにスマホをチェックする癖

間欠強化は、「退屈を避ける行動(スマホを見る)」を強化します。

その結果、「何もしない」「じっとする」ことに耐えられなくなり、常に刺激を求める脳に。

退屈は創造性や内省の入り口にもなるため、退屈を避けすぎると本質的な思考や集中力が損なわれるのです。

\ 最新情報をチェック /

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました