、電子書籍と紙の書籍が睡眠に与える影響の違いについて、科学的根拠をふまえて詳しく解説します。
1. 概要:なぜ「読む媒体」が睡眠に関係するのか?
読書は本来、寝る前のリラックスとして有効ですが、「電子書籍(特にスマートフォンやタブレット)」か「紙の本」かによって睡眠への影響が大きく変わることが知られています。
この差は、主に以下の3点から説明されます:
- ブルーライト(青色光)
- 脳の覚醒度
- 睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌抑制
💡 2. 電子書籍(特にバックライト型)と睡眠への悪影響
主な問題点:ブルーライトの曝露
電子書籍をスマホやタブレットで読むと、ディスプレイから出るブルーライト(波長約450nmの青色光)により、脳が「まだ昼間」と錯覚します。
- 視交叉上核という体内時計中枢が影響を受け、
- メラトニン(眠気を引き起こすホルモン)の分泌が抑制される
- 結果として:眠気が起こりにくくなり、寝つきが悪くなる
実験例:
- 被験者に5日間、夜に紙の本を読む群と、iPadで読む群に分けた。
- iPad群では:
- メラトニン分泌が平均1.5時間遅れた
- 寝つきに時間がかかった
- 翌朝の眠気が強かった
3. 紙の本と睡眠への影響
紙の本には発光がないため、ブルーライトの影響がないのが最大の利点です。
- 読書によるリラックス効果(ストレス低減、脳の沈静化)
- ルーチンとしての読書が「寝る時間の合図(スリープシグナル)」になりやすい
- デジタル機器と違って通知やアラートが来ないため、注意の分散が起きない
特に、やさしい内容やエッセイ、小説などを静かな照明で読むことは、睡眠導入を助ける自然な行動とされています。
4. 比較表:電子書籍 vs 紙の書籍(睡眠への影響)
項目 | 電子書籍(スマホ/タブレット) | 紙の書籍 |
---|---|---|
ブルーライト | あり(強い) | なし |
メラトニンへの影響 | 抑制される | 影響なし |
寝つきの良さ | 悪化しやすい | 改善されやすい |
睡眠の質 | 低下傾向 | 安定しやすい |
通知・気が散る要素 | 多い | なし |
翌朝の疲労感 | 増えやすい | 少ない |
5. 対策とおすすめの工夫
電子書籍を使いたい場合の対策:
- Eインク端末(Kindleなど)を使う → バックライトがない or 暖色光
- 夜間モード(ブルーライトカット)をオンにする
- 読書専用アプリを使い、通知を完全にオフにする
- 寝る30分前にはデバイスの使用を終えるようにする
スマホやタブレット 正しい使用方法:
スマホやタブレットは目から約35cm以上離して使用することが、眼の健康と睡眠の質を守る上でとても重要です。
対策 | 内容 |
---|---|
📏 距離を取る | スマホ・タブレットは35〜40cm離して使う |
🌙 明るさを下げる | 画面の明るさは周囲の照明と調和させる |
🔅 暖色モード | Night Shift やナイトモードを活用 |
📴 時間を決める | 就寝30〜60分前までには使用をやめる |
📖 紙の本に切り替える | より自然な入眠がしやすくなる |
子どもや若者の場合は特に注意
成長期の目は近距離での長時間使用にとても敏感です。スマホの至近距離使用が、近視進行や睡眠障害の原因になりやすいという研究もあります。
結論
電子書籍(スマホ・タブレット)は便利ですが、寝る前に使うと脳を覚醒状態に保ち、眠りを妨げやすいです。
一方で紙の本は、光の影響がなく、自然な眠気を引き出しやすい読書方法です。
「睡眠を改善したい」「寝つきを良くしたい」人には、夜の紙の読書がもっとも理想的な選択肢といえるでしょう。
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