ネットワークネットワークとは?身近な仕組みをわかりやすく解説ネットワーク

スマホ

ネットワークとは「複数のコンピュータや機器をつなげて、情報やデータをやり取りできるようにした仕組み」です。「ネットワーク」という言葉は、実はもともと英語の net(網) と work(仕組み・構造)を組み合わせたものです。

  • net(網)
    ロープや糸を張り巡らせて作られる「網」を意味し、多くの点がつながるイメージを持ちます。
  • work(仕組み・構造)
    単なる「働き」だけでなく、「構造物」「体系」という意味合いもあります。

この二つが合わさり、「網のように組み合わさった仕組み」= network という表現が生まれました。

スマホのネットワークの仕組み

スマートフォンは、単体で完結する機械ではなく、常に「外部のネットワーク」と接続することでその機能を発揮します。ネットワークがなければ、通話もメールもSNSも使えません。スマホのネットワークは、大きく分けて 「携帯電話のモバイル回線」「Wi-Fi(無線LAN)」 の2種類があります。


スマホのSIMカードやeSIMが利用する通信で、キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天など)が整備する回線を通じて世界中とつながります。

  • 接続の流れ
    スマホから電波を送信すると、最寄りの基地局(アンテナ)がそれを受け取ります。基地局は光ファイバーなどでキャリアの中枢ネットワーク(コアネットワーク)に接続されており、そこから目的の相手やインターネットのサーバに通信が転送されます。
  • 通信の仕組み
    この通信はパケット(小さなデータのかたまり)に分割され、暗号化された状態でやり取りされます。そのため、外部から内容を盗み見られるリスクは低い仕組みになっています。
  • 世代の違い
    • 3G:主に音声通話と低速データ
    • 4G(LTE):高速通信が可能になり、動画やSNSが一般化
    • 5G:さらに高速・低遅延・多数接続が可能で、自動運転やIoTにも応用
    • 6G:現在研究中で、2030年前後に登場予定

基地局とカバー範囲の仕組み

スマートフォンがいつでもつながるのは、日本中に設置された基地局のおかげです。基地局はアンテナを備え、スマホからの電波を受け取り、通信事業者のネットワークやインターネットにつなぐ「中継点」として働いています。


カバー範囲=セル

基地局が電波を届けられる範囲を「セル」と呼びます。セルは蜂の巣のように隙間なく配置されており、この仕組みを「セルラー方式」と呼びます。これにより、私たちは移動中でも途切れることなく通信できるのです。

※「セルラー(cellular)」とは、英語の cell(細胞・小区画)に由来する言葉で、通信の分野では 「セル(小さな区画)」に基づいて成り立つ仕組み を指します。


基地局がどのくらいの範囲をカバーできるかは、次の条件によって決まりますー

  • 周波数帯
    低い周波数(700〜900MHz)は遠くまで届きやすく、建物の中にも入りやすいので広域カバーに適しています。
    一方で高い周波数(3.5GHz帯や5Gのミリ波)は直進性が強く、届く距離は短いですが、大容量で高速通信を実現できます。
  • 利用者の数
    都市部のように人口が多い場所では、セルを数百メートル〜1km程度に小さく分けて基地局を多く配置し、混雑を防ぎます。地方では、利用者が少ないため1局で数km〜十数kmをカバーすることもあります。
  • 地形や建物
    山やビルに遮られると電波が届きにくくなるため、小さなセルを重ねて設置します。逆に見通しの良い平野や高速道路沿いでは、20km近くまで電波が届くこともあります。
  • アンテナ技術
    基地局は通常3方向にアンテナを向けてエリアを分担しており、5Gでは「ビームフォーミング」と呼ばれる技術で特定の端末に狙って電波を送ることもできます。

地域ごとの特徴

  • 都市部:セルは数百m〜1km程度。小さく分けて多数の基地局を置き、利用者の多さに対応。
  • 郊外や田舎:セルは数km〜十数km。広い範囲を少ない基地局で効率的にカバー。
  • 山間部や高速道路沿い:特殊なアンテナや高出力設備で20km以上届く場合もあり、移動中の通信を支えています。
周波数帯都市部(高密)郊外田舎・見通し良好主な使い方の感覚
700–900MHz0.5–2 km2–10 km10–20 km広域/屋内到達を確保する“土台”
1.7–2.1GHz0.3–1.5 km1–5 km5–10 km都市の主力、容量と到達の両立
3.4–4.5GHz (5G sub-6)0.2–1 km0.5–3 km〜数km高速・大容量、密集配置
24–39GHz (ミリ波)0.05–0.2 km(50–200m)超高速の“点”配備(駅前・会場など)
屋内スモールセル(ピコ/フェムト)10–100mビル/商業施設の内側を満たす

スマホのハンドオーバーとは

ハンドオーバーとは、スマートフォンが移動中に今つながっている基地局(セル)から別の基地局へ、通信を切らさずに電波を引き継ぐ仕組みのことです。電車や車に乗っていても通話やデータ通信が途切れないのは、この仕組みのおかげです。

ーハンドオーバーの仕組みー

  1. 測定:スマホが周囲の基地局の電波を定期的に測定する
  2. 報告:条件を満たすと、その結果を現在の基地局に伝える
  3. 判定:基地局が切替の必要性を判断する
  4. 準備:新しい基地局が通信の受け入れ準備を行う
  5. 切替:スマホが新しい基地局に接続を移す
  6. 継続:通信が途切れることなく続く

ーハンドオーバーの種類ー

  • 同じ方式内の切替(Intra-RAT)
    LTE→LTE、5G→5Gのように、同じ通信方式の中で基地局を切替える。
  • 異なる方式間の切替(Inter-RAT)
    LTE↔5GやLTE↔3Gなど、異なる規格間で行う切替。
  • 周波数の異なる切替
    同じLTEでも、周波数帯域が異なるセル間での移行。
  • ハードハンドオーバー
    一度接続を切ってから新しい基地局に接続する方式。LTEや5Gで一般的。
  • ソフトハンドオーバー
    複数の基地局につながりながら切替を行う方式。主に3G(W-CDMA)で利用された。
  • デュアルコネクティビティ
    2つの基地局に同時に接続し、片方を維持しながらもう一方を切替えることでスムーズに移行できる。
  • 条件付きハンドオーバー(CHO)
    5Gで導入された新技術。事前に切替条件をスマホへ配布しておき、条件を満たした瞬間に端末側が即時にハンドオーバーを実行するため、遅延や失敗を減らせる。

ー通話との関係ー

  • VoLTEやVoNR
    音声通話をデータ通信として扱う方式で、通常のデータ通信と同じくハンドオーバーで切替可能。ユーザーは通話が途切れることを感じにくい。
  • SRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)
    LTEエリアから外れる際、VoLTE通話を3Gや2Gの回線交換方式に引き継ぐ仕組み。電波状況が変わっても通話を継続できるようになっている。

ーハンドオーバーが失敗した場合ー

  • ハンドオーバー失敗(HOF)
    新しい基地局に正常につながらず通信が切断される。再接続が必要になる。
  • Ping-Pong現象
    短時間でセルを行ったり来たりする現象。通信が不安定になり、端末のバッテリー消費も増える。
  • 混雑セルへの移行
    利用者が集中している基地局に切替ってしまい、速度低下や遅延が発生することがある。

ー最適化の工夫ー

こうしたトラブルを防ぐため、基地局側では以下のような調整が行われています。

  • しきい値設定:一定以上の電波差がなければ切替しない
  • ヒステリシス:多少の揺らぎでは切替しない余裕幅を設ける
  • Time To Trigger(TTT):一定時間条件を満たした場合にのみ切替を実行
  • ロードバランス制御:混雑したセルから空いているセルへ分散させる
  • ビームフォーミングやアンテナ調整:セル境界の品質を改善し、切替をスムーズにする

ハンドオーバーは、スマホが移動中でも途切れずに通信できるようにする重要な仕組みです。測定から報告、判定、準備、切替、継続という流れで行われ、方式や周波数によってさまざまなタイプがあります。失敗や不安定さを防ぐために、多くの工夫が組み込まれており、これによって現代のモバイル通信は快適さを維持しています。

ハンドオーバーは 「移動中も途切れないように、基地局をバトンタッチする技術」

携帯電話会社のビルで行われる通信処理

私たちがスマートフォンで通話やインターネットを利用するとき、そのデータはまず近くの基地局に届きます。基地局で受け取った電波はデジタル信号に変換され、光ファイバーなどの専用回線を通じて、携帯電話会社のビル(局舎・交換センター)へ送られます。

基地局とビルの間をつなぐのは光ファイバーなどの有線ケーブルです。

ービルの中で行われる主な処理ー

  • 信号の整理と管理
    届いた通信がどのスマホからのものかを識別し、音声やデータに分けて不要なノイズを取り除きます。
  • ルーティング(行き先の決定)
    • 同じ会社の利用者宛なら、自社ネットワーク内で転送。
    • 他社の携帯や固定電話宛なら、他の通信事業者へ中継。
    • インターネット利用なら、インターネットのゲートウェイへ接続。
  • セキュリティ処理
    SIMカードの情報を照合して契約者を確認し、通信を暗号化・復号化して安全性を確保します。
  • トラフィック制御
    通信が混雑しているときはデータを効率よく流し、緊急通話などは優先的に処理します。

その後の流れ

  • 通話であれば、相手の携帯や固定電話に接続。
  • インターネット利用であれば、動画サイトやSNSなどのサーバーにつながります。

屋内がつながりにくい理由

スマートフォンの電波が弱まったり、圏外になるのは、特にビルや地下など屋内環境で起こりやすい現象です。原因は、電波が壁や床を通過する際に減衰してしまうためです。鉄筋コンクリートや金属、特殊ガラスなどは電波を遮りやすく、建物の奥まで届きにくくなります。

これを補うために、通信事業者は低周波数帯の電波(700〜900MHz帯)を利用して建物の奥まで届きやすくしたり、ビルや商業施設内に小型基地局中継装置を設置して、屋内でも快適に通信できる環境を整えています。

  • コンクリートや鉄筋、金属を含む壁は電波を通しにくい
  • 特殊ガラス(Low-Eガラスなど)も電波を反射してしまう
  • 地下街や地下鉄は、地面そのものが電波を遮断する

ー「圏外」と「遅い」の違いー

同じ「つながらない」感覚でも、原因は大きく2つに分けられます。

  • 圏外:基地局からの電波が届いていない、または極端に弱くて通信が成立しない状態。山奥や地下深部などで起こりやすい。
  • 遅い:電波自体は届いているが、利用者の集中や電波干渉により速度が出ない状態。駅のホームやイベント会場など、人が密集する場所でよく見られる。

つまり、圏外は電波が物理的にない、遅いは電波はあるが容量不足という違いがあります。

圏外=電波がない、遅い=電波はあるが混雑している。

スマートフォンの通信の2種類

スマートフォンの通信には大きく分けて 携帯会社のネットワーク(モバイルデータ通信) と Wi-Fiネットワーク の2種類があります。

  • スマホネットワークは                                                   携帯会社の基地局を通じて全国どこでも使える仕組み です。SIMカードを通じて契約情報が認識され、スマホは近くの基地局と直接やり取りをします。そのため、外出先や移動中でも安定して通信ができ、スマホ単体で完結するのが大きな特徴です。ただし、使ったデータ量に応じて料金が発生するため、契約プランを超えると速度制限がかかる場合があります。
  • 仕組み
    スマホに入っているSIMカードが携帯会社の契約情報を読み取り、近くの 基地局 と直接通信します。
    基地局から通信事業者のネットワークを経由して、インターネットに接続。
  • 特徴
    • 全国どこでも、基地局の電波が届く範囲なら利用可能
    • 外出中や移動中でも安定した通信ができる
    • スマホ単体で完結する(ONUやルーター不要)
  • デメリット
    • 使ったデータ量(ギガ)に応じて料金が発生
    • 契約プランを超えると速度制限になる場合がある
  • Wi-Fiネットワークは                                                自宅やオフィスに引き込んだ固定回線を無線で共有する仕組み です。光回線などをONUやルーターを通して分配し、スマホはその電波をキャッチしてインターネットに接続します。Wi-Fiは大容量通信に強く、動画視聴やオンラインゲーム、テレワークなどにも最適です。通信量を気にせず使えるのも大きな利点ですが、ルーターの電波が届く範囲でしか利用できません。
  • 仕組み
    自宅やオフィスに引き込んだ 固定回線(光回線など) を、ONU・ルーターを通じてスマホに無線で分配します。
    スマホのWi-Fi機能が、このルーターの電波をキャッチしてインターネットにつながる仕組みです。
  • 特徴
    • 通信量を気にせず使える(使い放題が多い)
    • 高速で安定した大容量通信ができる(動画・ゲーム・テレワークに最適)
    • 家族や複数人で同時に利用可能
  • デメリット
    • 自宅やオフィスなど「ルーターの電波が届く範囲」でしか使えない
    • ONUやルーターなど設置機器が必要

この2つを上手に使い分けることで、快適かつ経済的な通信環境が手に入ります。外出先ではスマホネットワークを利用し、自宅ではWi-Fiにつなぐ。これが、現代のスマートなネットワーク活用法といえるでしょう。

  • ホームゲートウェイ

ホームゲートウェイとは、家庭におけるインターネット通信の中心となる機器です。インターネット回線とスマートフォンやパソコン、テレビ、IoT家電などをつなぐ「玄関口」の役割を果たします。

一般的な家庭用ネットワークでは、光回線を受け取るための ONU(光回線終端装置) と、回線を分配するための ルーター が必要です。ホームゲートウェイは、この両方の機能をまとめ、さらにWi-Fiや電話機能まで統合した「多機能ルーター」といえます。

ホームゲートウェイは1台で複数の役割を担うため、設置がシンプルで初心者でも扱いやすいのが魅力で通信事業者からレンタル提供されることも多く、初期設定が簡単に済むのも利点です。

一方で、市販の高性能ルーターと比べるとWi-Fi性能やカスタマイズ性が劣る場合があります。また、レンタル料が毎月かかるケースもあるため、長期的な利用ではコストを考える必要があります。

機器主な役割必要な場面特徴注意点
ONU(光回線終端装置)光ファイバーで届いた「光信号」を電気信号に変換する光回線を契約したとき必須(回線業者から貸与)インターネットの「入口」単体ではネット接続不可、必ずルーターが必要
ルーターインターネット回線を複数の機器に分配し、同時利用を可能にするPCやスマホを複数台接続する場合有線LANやWi-Fiルーターとして利用可能ONUがなければ光回線を直接使えない
ホームゲートウェイ(HGW)ONU+ルーター+Wi-Fi+電話機能などを統合した多機能装置光回線+電話やWi-Fiをまとめて使いたい場合1台で完結、設定が簡単、セキュリティ機能も搭載通信会社からのレンタルが多く、市販ルーターに比べWi-Fi性能が劣ることも

プロバイダーと回線業者‐光回線には2つの会社が関わっている‐

プロバイダと回線会社の役割

インターネットを利用するには、プロバイダ(ISP)だけでは不十分です。実際に通信を届けるには、回線会社 の存在が欠かせません。回線会社は全国に数多くの局舎(通信ビル)を持ち、そこから電柱や地下ケーブルを経由して光ファイバーを家庭やマンションに引き込みます。この区間の回線は「足回り線」と呼ばれ、利用者の自宅とインターネット網を結ぶ重要な部分です。

  • 光回線は 回線業者(インフラ)プロバイダー(接続サービス) の2社によって成り立つ。
  • 回線業者は「道路を作る会社」、プロバイダーは「道路の入り口を提供する会社」にたとえられる。
  • 通常は2社契約だが、最近は両方をまとめた「一体型プラン」が主流になりつつある。



プロバイダー(ISP)

プロバイダーは、回線業者が作った光ファイバーを通じて、実際にインターネットへ接続するサービスを提供する会社です。

  • インターネットへの接続                                             プロバイダは、利用者をインターネットにつなぐためにさまざまな役割を担っています。まず基本となるのが インターネットへの接続 です。プロバイダは、家庭や会社とインターネット全体を結びつける入口として働き、接続用のユーザーIDやパスワードを発行して契約者を認証します。
  • IPアドレスの割り当て 次に重要なのが IPアドレスの割り当て です。インターネット上で通信するためには住所にあたるIPアドレスが必要ですが、プロバイダは利用者の機器にこれを割り振り、どのデータが誰のもとへ行くのかを管理しています。
  • 通信の経路提供 さらにプロバイダは 通信の経路提供 も行います。利用者が送ったデータを他のネットワークに届け、逆に外部から送られてきたデータを利用者に届ける役割です。このためにプロバイダ同士は相互に接続しており、その広がりによって世界中のインターネット通信が成立しています。
  • 付加サービス 加えて、プロバイダは接続サービス以外にも便利な 付加サービス を提供します。代表的なものはメールアドレスの発行、迷惑メールフィルタやウイルスチェックなどのセキュリティサービス、さらにはWebサイトやブログのレンタルサーバー提供などです。
  • プロバイダ同士のつながり                                              世界中には無数のプロバイダが存在し、それぞれが独立したネットワークを持っています。しかし、1つのプロバイダだけでは「自分のネットワークの中」しか通信できません。そこでプロバイダ同士は、相互に回線をつなぎ合う(ピアリング) ことで、利用者同士の通信を可能にしています。

  • 小規模・中規模・大規模プロバイダの違い                                       インターネットを利用するための接続サービスを提供するプロバイダ(ISP)には、規模の大小によって特徴があります。                                              小規模プロバイダ は、                                              特定の地域や限られた利用者層を対象とした事業者です。地域密着型でサポートが丁寧なことが多く、利用者に近いサービスを提供できます。ただし、自前の大規模回線を持たず、上位の大手プロバイダから回線を借りる形になるため、混雑時には通信速度が低下しやすいという弱点があります。                                             中規模プロバイダ は、                                             全国規模ではないものの複数の地域で展開しており、ある程度の自社設備を持っています。小規模に比べて回線品質は安定しており、利用者数も多いのが特徴です。大手ほどではないものの、自社ネットワークを部分的に運用し、他のプロバイダと相互に接続することでサービスを提供しています。                                           大規模プロバイダ は                                              全国展開している大手事業者で、国内外に大規模なネットワークを保有しています。OCN、BIGLOBE、So-net などが代表例で、自前の幹線(バックボーン)を持ち、海外のプロバイダやインターネット交換ポイント(IX)とも直接接続しています。そのため通信の安定性や速度が高く、付加サービスやセキュリティ対策も充実しています。ただし利用者数が非常に多いため、サポートはやや事務的で、地域ごとの細かい対応には向かない場合もあります。

回線業者とは

回線業者とは、自宅やオフィスまで光ファイバーなどの物理的な通信回線を敷設し、そのインフラを提供・管理している会社のことです。代表的な例として、NTT東日本・西日本(フレッツ光)、KDDI(auひかり)、電力会社系(コミュファ光、eo光など)が挙げられます。その役割は、高速道路を建設・維持する会社にたとえると分かりやすいでしょう。道路がなければ車が走れないのと同じように、回線業者が「光の道路」を整備することで、はじめて通信が可能になるのです。

  • 代表例:NTT東日本・西日本(フレッツ光)、KDDI(auひかり)、電力会社系(コミュファ光、eo光など)
  • 役割のイメージ:高速道路を建設・維持する会社。道路がなければ車が走れないのと同じように、回線業者が「光の道路」を整備することで通信が可能になります。

局舎から光コンセントまでの流れ

家庭にインターネットが届くまでには、いくつかの段階があります。

まず出発点となるのが 局舎(通信ビル・交換局) です。ここは回線業者が設置している地域の拠点で、全国や国際の光ファイバー幹線とつながり、内部には回線を制御・振り分ける装置やルーターが設置されています。

局舎から出た光ファイバーは、電柱や地下ケーブル を通って住宅街やマンションの近くまで運ばれます。道路沿いの電柱には光ケーブルが束ねられ、ここから各家庭に分岐します。都市部では電柱の代わりに地下管路が利用されることもあります。

次に、引き込み線 と呼ばれる部分で光ファイバーが自宅に直接接続されます。戸建て住宅では電柱から外壁にケーブルを引き込み、宅内に通します。マンションの場合はまず共用の配線室(MDF室)まで引き込まれ、そこから各部屋に分配されます。

最後に家庭内に設置されるのが 光コンセント です。これは光ファイバーを接続する専用の差込口で、電気で言えばコンセント、水道で言えば蛇口にあたるものです。ここにONU(光回線終端装置)をつなぎ、光信号を電気信号に変換することで、ルーターを介してパソコンやスマホにインターネットが届きます。

足回り線とは

足回り線とは、回線会社の局舎から利用者の建物までをつなぐ光回線を指します。インターネットでは「ラストワンマイル」とも呼ばれる部分で、この区間がなければプロバイダと契約しても実際には接続できません。電柱から宅内に光ファイバーを引き込む工事も、この足回り線の整備に含まれます。

  • 局舎から利用者の建物までをつなぐ回線を指す。
  • 「ラストワンマイル」とも呼ばれる、インターネットを家庭に届ける最終区間。
  • 電柱から宅内に光ファイバーを引き込む工事もこの一部。
  • 足回り線が整備されていなければ、プロバイダ契約をしても実際にはインターネットは使えない。

光コラボレーション(光コラボ)とは

光コラボレーション(光コラボ)は、NTT東日本・西日本が提供する「フレッツ光」の回線を、他の事業者が仕入れて自社ブランドとして販売できる仕組みです。ドコモ光、ソフトバンク光、OCN光、BIGLOBE光などがその代表例です。

従来はインターネットを利用する際、NTTと回線契約をし、さらに別途プロバイダと契約を結ぶ必要がありました。光コラボの登場によって、回線とプロバイダを一括して契約できるようになり、利用者にとって分かりやすくなりました。

利用者にとっての利点は、回線とプロバイダを一括で契約でき、料金請求も一本化されるため分かりやすいことです。ただし、解約や事業者変更の際には手続きがやや複雑になる場合もあります。

光コラボレーション ‐仕組み

  1. NTT が全国に敷設したフレッツ光の回線を用意し、それを他社に卸売りする。
  2. 事業者(プロバイダや携帯キャリアなど) がNTTの回線を自社ブランドとして提供する。
  3. 利用者 は回線とプロバイダを一括契約し、請求も一本化される。

光コラボレーション ‐利用者のメリット

  • 契約や支払いが一本化され、手続きがシンプルになる。
  • 携帯電話とのセット割などで料金が安くなる場合がある。
  • 事業者ごとにポイント還元や独自のサービスが受けられる。

光コラボレーション ‐注意点

  • 他社へ乗り換える場合、「事業者変更手続き」が必要で、従来より手続きが複雑になる。
  • 回線自体は同じNTTの光ファイバーだが、通信の混雑状況は事業者ごとの設備に左右される。
  • フレッツ光から光コラボへの移行は簡単だが、その逆はやや面倒になることがある。

インターネットは、回線業者が物理的な回線を整備し、プロバイダが接続サービスを提供することで成り立っています。局舎から電柱、引き込み線を通じて光コンセントに届く流れを支えるのが足回り線であり、この物理的基盤があるからこそ私たちは家庭で高速通信を利用できます。さらに光コラボの仕組みが加わり、契約や支払いがより簡単になった一方、乗り換えの際には注意が必要です。

LANとは

LAN(Local Area Network=ローカルエリアネットワーク)とは、家庭やオフィスなど限られた範囲で機器同士をつなぐ仕組みです。
LANには大きく分けて 有線LAN無線LAN(Wi-Fi) があります。

ー有線LANー

有線LANとは、LANケーブルを使ってパソコンやテレビ、ゲーム機などをネットワークに接続する方式のことです。LANとは「Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略で、家庭やオフィスといった限られた範囲で機器をつなぐ仕組みを指します。その中でも、電波ではなくケーブルで直接接続するのが有線LANです。

家庭では、光回線がONUやホームゲートウェイ、ルーターを通じて届きます。そこからLANケーブルを使って各機器に接続することで、安定したインターネット利用が可能になります。


  • 有線LAN-特徴とメリット

有線LANの最大の強みは「安定性」と「速度」です。電波干渉を受けないため通信が途切れにくく、常に安定した速度で利用できます。1Gbpsや10Gbpsに対応するケーブルを使用すれば、大容量のデータ通信も快適に行えます。また、遅延が少ないため、オンラインゲームやビデオ会議といったリアルタイム性の求められる用途に最適です。


  • 有線LAN-デメリット

一方で、有線LANにはケーブルが必要という制約があります。配線が複雑になりやすく、接続できる場所がケーブルの届く範囲に限られるため、スマホやタブレットのように自由に持ち歩いて使うことはできません。


無線LANを内蔵していないPCや機器でも、

  • USB無線LANアダプター
  • PCIeカード
  • イーサネットコンバーター

などを追加すれば、簡単にWi-Fiが使えるようになります。
特にUSBタイプは差すだけで使える手軽さがあり、最も一般的な方法です

ー無線LAN(Wi-Fi)ー

無線LAN(Wi-Fi)は、LANケーブルを使わずに電波で端末とルーターをつなぐ仕組みです。スマートフォンやパソコン、タブレットなどをケーブルなしでインターネットに接続できるため、現在では家庭やオフィスで欠かせない技術となっています。

無線LANによる通信 ー無線LANと光回線のつながりの仕組み

デバイス → 無線LAN親機(ルーター) → ONU → 光コンセント → 通信事業者のビル → インターネット

私たちがスマートフォンやパソコンを使ってWi-Fiでインターネットに接続するとき、その裏側ではいくつもの機器や設備を経由して通信が行われています。流れを順番に追うと、次のようになります。


  • 1. デバイス

スマホやPC、ゲーム機などのデバイスは、Wi-Fiの電波を使って無線LAN親機(ルーター)に接続します。このとき表示されるSSID(ネットワーク名)を選び、パスワードを入力して認証が通ると、安全に通信ができるようになります。


  • 2. 無線LAN親機(Wi-Fiルーター)

無線LAN親機は、自宅内の中心的な役割を持つ機器です。デバイスからの電波を受け取り、LANケーブルでONUと接続します。また、複数のデバイスにIPアドレスを振り分け、同時にインターネットを利用できるようにします。


  • 3. ONU(光回線終端装置)

ONUは、光回線を家庭で使える形に変換する装置です。光ファイバーを通ってきたレーザー光の信号を電気信号に変換し、逆に家庭からの通信を光信号に戻して外へ送ります。


  • 4. 光コンセント

ONUは、自宅の壁に設置された光コンセントに接続されています。光コンセントは、自宅と外の光ファイバー網をつなぐ入り口で、ここから先は電柱や地下の光ケーブルを通じて外部へと伸びています。


  • 5. 通信事業者のビル(局舎・通信センター)

光回線は通信事業者のビルに集約されます。ここで大量の通信が制御され、インターネット全体へと接続されます。いわば「インターネットの玄関口」とも言える場所です。



無線LANによる通信パスワードが必要な理由

Wi-Fiは電波が空間に飛んでいるため、近くにいる人なら誰でもその信号を受信できます。もしパスワードを設定していなければ、他人が勝手にネットワークを利用できたり、通信を盗み見られる危険性があります。
このリスクを防ぐために、SSIDとパスワードによる認証と暗号化が必須となっています。


  1. スマホやPCの設定画面に、利用可能なWi-Fiネットワーク(SSID)が一覧で表示されます。
  2. その中から自分が使いたいネットワーク(自宅やオフィスのSSIDなど)を選択します。
  3. あらかじめ設定されている**パスワード(暗号化キー)を入力します。
  4. 認証が成功すると、端末は無線でルーターに接続され、インターネットが利用できるようになります。

無線LANによる通信メリット

  • ケーブル不要で設置が簡単
  • スマホやタブレットを自由に持ち歩いてどこからでも接続できる
  • 家庭やオフィス内で複数の機器を同時に接続できる

無線LANによる通信デメリット

  • 電波干渉(電子レンジや他のWi-Fiなど)や壁・床の遮蔽物の影響を受けやすく、速度が不安定になりやすい
  • 通信品質は環境によって変動し、場所によっては速度が大きく落ちることもある

ONUは「光回線の信号変換器」

光回線を利用する際に欠かせない機器が ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置) です。名前のとおり、光回線の「終端」に設置され、家庭やオフィスでインターネットを使えるように変換する役割を持っています。


光ファイバーの中を流れているのは「電気」ではなく光の信号です。通信事業者のビルから送られてくるデータは、レーザー光の点滅パターンにデジタル情報(0と1)が込められています。

パソコンやルーターは光信号をそのまま理解できません。そこでONUが次の役割を担います。

  • 外から来た光信号を、LANケーブルで扱える電気信号(イーサネット信号)に変換
  • 家庭から送る電気信号を、光信号に変換して通信事業者の回線へ送り返す

つまりONUは、光と電気の世界を橋渡しする「通訳機」のような存在です。


よく混同されますが、ONUとルーターは役割が異なります。

  • ONU:光 ⇔ 電気信号の変換を担当
  • ルーター:家庭内の複数の機器をまとめ、データの行き先を管理する

この2つを組み合わせることで、スマホ・PC・ゲーム機などが同時にインターネットへ接続できるのです。


通信速度の単位とは?

インターネットの「速さ」を表すときに使われるのが bps(bits per second) です。

  • bps … 1秒間にどれだけのビット(データの最小単位)を送受信できるかを示す

インターネットの速さを表すときに使うのが bps(ビーピーエス:bits per second) という単位です。

これは、1秒間に0又は1を何回送れるか(どれだけのデータ(ビット)をやり取りできるか) を示しています。

例えば、

1Gbpsなら「1秒間に10億ビット」送れる速さ

1Mbpsなら「1秒間に100万ビット」送れる速さ

無線LAN(Wi-Fi)の通信規格とは

無線LANの通信は、国際標準規格である IEEE 802.11 に基づいて定められています。これは世代ごとに改良が進められ、通信速度や安定性、多数の機器を同時に扱う性能が進化してきました。現在は「802.11n」「802.11ac」「802.11ax」といった技術名に加えて、わかりやすい呼び方として「Wi-Fi 4」「Wi-Fi 5」「Wi-Fi 6」などの名称が使われています。


ー主な規格と特徴ー

  • 802.11b(初期規格)
    2.4GHz帯を利用し、最大11Mbps。現在はほとんど使われていません。
  • 802.11g
    2.4GHz帯で最大54Mbps。家庭用に広く普及しました。
  • 802.11n(Wi-Fi 4)
    2.4GHzと5GHzの両方に対応。複数アンテナを活用するMIMO技術で最大600Mbps。2009年頃から普及。
  • 802.11ac(Wi-Fi 5)
    5GHz帯専用。混雑に強く、最大6.9Gbpsと高速。2013年以降、現在も主流です。
  • 802.11ax(Wi-Fi 6)
    2.4GHzと5GHzに対応し、多数の機器を効率的に接続できるOFDMA技術を採用。省電力性能も高く、最大9.6Gbps。2019年から登場し最新規格として普及中。
  • 802.11be(Wi-Fi 7)
    2.4GHz/5GHz/6GHzを利用可能。最大46Gbpsという超高速通信と低遅延を実現し、VRや8K映像配信に対応可能。今後の次世代規格です。

ー周波数帯の違いー

  • 2.4GHz帯
    電波が遠くまで届き、壁を通り抜けやすいが、電子レンジやBluetoothと干渉しやすい。
  • 5GHz帯
    高速で安定し、干渉も少ない。ただし直進性が強いため壁に弱い。
  • 6GHz帯(Wi-Fi 6E/7)
    混雑が少なく、より超高速通信が可能。利用できる国や地域はまだ限定的。

周波数帯「一秒間に上下する回数」

電波は波の形をしており、その波が1秒間に何回上下するかを表したものが「周波数」です。単位は Hz(ヘルツ) が使われます。

  • 1Hz:1秒間に1回 波が上下する
  • 1kHz(キロヘルツ):1秒間に1,000回
  • 1MHz(メガヘルツ):1秒間に100万回
  • 1GHz(ギガヘルツ):1秒間に10億回

つまり、数値が大きいほど「波が細かく震えている」ことを意味します。


ーWi-Fiで使われる周波数帯ー

無線LAN(Wi-Fi)は主に 2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯 の3つの周波数帯を利用しています。

  • 2.4GHz帯:1秒間に約 24億回 波が上下
  • 5GHz帯:1秒間に約 50億回 波が上下
  • 6GHz帯:1秒間に約 60億回 波が上下

ー周波数と通信の関係ー

周波数が高くなるほど、波は速く細かく振動します。その結果:

  • 高速通信が可能(多くのデータを載せやすい)
  • ただし波長が短くなるため、遠くまで届きにくく、壁などの障害物に弱くなる

逆に、周波数が低いと遠くまで届きやすく障害物に強いですが、通信速度は落ちます。

周波数帯特徴向いている用途
2.4GHz遠くまで届く・障害物に強い・速度は遅め・混雑しやすい家全体のカバー、古い機器の接続
5GHz高速通信・混雑に強い・距離は中程度・壁に弱い高速ネット利用、動画、オンライン会議
6GHz超高速・遅延が少ない・混雑に非常に強い・距離は短いVR/AR、8K映像、最新デバイス
  • プラチナバンド

プラチナバンドとは、携帯電話の通信に使われる周波数帯のうち、700MHz〜900MHz帯の低い周波数帯 を指します。携帯各社が特に重視しており、「つながりやすい電波」として知られています。「プラチナ」と呼ばれるのは、その価値の高さからです。


  1. 遠くまで届きやすい
    周波数が低いため、電波の減衰が少なく、郊外や山間部でも安定して通信できる。
  2. 建物の中に届きやすい
    壁や床を通り抜けやすく、地下街や屋内でも電波が入りやすい。
  3. 効率よくエリアを整備できる
    1つの基地局で広い範囲をカバーできるため、整備コストが抑えられる。

ーなぜ重要なのかー

  • 都市部では、高周波数帯の電波はビルに遮られて圏外になりやすい。プラチナバンドなら屋内でも届きやすく、通信品質が安定する。
  • 地方では、少ない基地局で広い範囲をカバーできるため、インフラ整備がしやすい。

このため、プラチナバンドを持つかどうかは、携帯会社の通信品質を大きく左右します。

IPアドレスとは何か

IPアドレス(Internet Protocol Address)は、インターネット上でコンピュータやスマートフォンといった機器を識別するための番号であり、いわば ネット上の住所 にあたります。現実の世界で手紙を送る際に「差出人」と「宛先」の住所が必要になるのと同じように、インターネットでもデータを正しい相手に届けるためにはIPアドレスが欠かせません。


IPアドレスの役割ーIPアドレスは大きく二つの役割を持っています。

  1. 機器の識別
     ネットワークに接続された機器はそれぞれ固有のIPアドレスを持ち、これによって同じネットワーク内で区別されます。パソコン、スマホ、プリンタ、サーバーなど、すべてがIPアドレスを通じて存在を認識されます。
  2. 通信経路の指定
     インターネット上でのデータ通信は「送り主」と「受け取り先」の両方のIPアドレスを指定することで成り立っています。つまり、IPアドレスがあることで、データは迷うことなく目的の機器へ届くのです。

ーIPアドレスの種類ーIPv4とIPv6

現在広く使われているのが IPv4 と呼ばれる方式です。IPv4は32ビットの番号で構成され、例として「192.168.1.1」といった形で表されます。しかし、利用できる数が約43億個と限られており、インターネット利用者の急増によって枯渇が問題となりました。

その解決策が IPv6 です。IPv6は128ビットの番号を持ち、事実上無限に近い数のアドレスを割り当てることができます。IoT機器の普及によって膨大な数の接続が必要となる現代では、IPv6の導入が進んでいます。

ーグローバルIPアドレスプライベートIPアドレスー

  • グローバルIPアドレス:インターネット上で唯一無二の番号で、世界中どこからでも識別される「本当の住所」にあたります。プロバイダから利用者に割り当てられます。
  • プライベートIPアドレス:家庭や会社の中だけで使われる番号で、ルーターの中で管理されます。例えば「192.168.x.x」や「10.x.x.x」といった形式です。ルーターはNATという仕組みで、複数の機器を一つのグローバルIPアドレスを通じて外部インターネットに接続させています。

ーIPアドレスの割り当て方法ー

一般的には DHCP という仕組みを使って、自動的にIPアドレスが割り当てられます。そのため利用者は特別な設定を意識する必要はありません。一方で、サーバーの運用など特定の用途では 固定IPアドレス を契約し、常に同じ番号を使うことで安定したサービス提供を行います。


ーIPアドレスのまとめー

IPアドレスは、インターネットを使うすべての機器が持つ「住所」です。これがあることで機器が識別され、データが正しい宛先に届きます。IPv4とIPv6、グローバルIPとプライベートIPといった分類があり、通常は自動で割り当てられるため利用者は意識する必要はありませんが、実際にはネットワークを成り立たせる根幹的な仕組みとなっています。

ドメイン名とは

ドメイン名は、IPアドレスに対応づけられた「文字による住所」です。
例:142.250.196.238 というIPアドレスは、google.com というドメイン名で表せます。

この変換を行うのが DNS(Domain Name System) で、電話帳のように「名前」と「番号」を対応させる役割を持っています。


ードメイン名の構造ー

ドメイン名は右から左へ階層的に構成されています。

例:example.com

  1. トップレベルドメイン(TLD)
    • 一番右の部分(.com, .jp, .org など)
    • 国別コード(.jp, .us など)や一般的用途(.com, .net など)がある
    • gTLD(汎用トップレベルドメイン)
      • .com(商用)、.org(非営利)、.net(ネットワーク)など
      • 現在は誰でも自由に登録可能
    • ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)
      • .com(商用)、.org(非営利)、.net(ネットワーク)など
      • 現在は誰でも自由に登録可能
  2. セカンドレベルドメイン(SLD)
    • TLDの左隣(example.comexample 部分)
    • 個人や企業が自由に登録できる名前で、ドメインの本体にあたる
  3. サブドメイン(任意)
    • さらに左側に追加される部分(例:mail.example.commail
    • 部署やサービスごとに分けるために利用される
  4. レジストリ(Registry) とは、各TLDを管理・運営する組織のことです。                     レジストリはそのTLDの公式データベースを持ち、「誰がどのドメインを登録しているか」を管理しています。

クライアントとサーバーの関係

インターネットの仕組みを理解するうえで欠かせないのが クライアントサーバーモデル です。ここでは、利用者側の機器を「クライアント」、サービスを提供する側を「サーバー」と呼びます。両者は一方的な関係ではなく、リクエスト(要求)レスポンス(応答) を通じて成り立っています。


ークライアントとはー

クライアントとは、サービスを利用する側の端末やアプリケーションを指します。パソコンやスマートフォン、ブラウザ(ChromeやSafari)、メールアプリ、ゲーム機などが代表的な例です。クライアントは自らデータを持つのではなく、「必要な情報をサーバーに取りに行く役割」を担います。


ーサーバーとはー

サーバーは、サービスやデータを提供するコンピュータです。Webページを保存するWebサーバー、メールの送受信を担当するメールサーバー、ゲームの進行やプレイヤーデータを管理するゲームサーバーなど、役割に応じてさまざまな種類があります。サーバーはクライアントから届いたリクエストを受け取り、それに応じた情報をレスポンスとして返します。


ーリクエストとレスポンスー

  • リクエスト(Request)
    クライアントがサーバーに送る「要求」のことです。たとえば「このWebページを表示して」「新しいメールを確認したい」「動画を再生したい」といった命令がリクエストにあたります。
  • レスポンス(Response)
    サーバーがクライアントに返す「応答」のことです。要求に応じて、Webページのデータやメール本文、動画ファイルなどを送り返します。クライアントはこのレスポンスを受け取って画面に表示したり再生したりします。

SSIDとは

SSID(Service Set Identifier)とは、Wi-Fiネットワークを識別するための「名前」のことです。スマートフォンやパソコンでWi-Fiを探すときに表示される「◯◯-wifi」や「home-1234」といった文字列がSSIDにあたります。SSIDがあることで、数多くの電波の中から自分が接続したいネットワークを見分けることができます。


ーSSIDの役割ー

SSIDの大きな役割は、ネットワークの識別接続のためのキー です。
まずSSIDは、周囲に複数のWi-Fiが飛んでいる場合でも、一覧の中から自宅のネットワークと隣家のネットワークを区別できるようにするための「目印」として働きます。また、接続する際にはSSIDを選択し、セキュリティキー(パスワード)を入力する必要があります。SSIDとパスワードが一致しなければ接続できない仕組みになっており、不正な利用を防ぐことにもつながります。


ーSSIDの種類ー

  • メインSSID:普段使う通常のWi-Fiの名前。
  • ゲストSSID:来客用に設定できるSSIDで、家庭内ネットワークに入れずインターネットだけ使わせる仕組み。
  • 周波数ごとのSSID:同じルーターでも「◯◯_2G」「◯◯_5G」といった形で、2.4GHz帯と5GHz帯を区別して表示する場合がある。

セキュリティ面での注意

SSIDは「ステルス化」して非表示にすることも可能ですが、これは完全なセキュリティ対策にはなりません。本当に重要なのは、WPA2やWPA3といった強力な暗号化方式を使い、推測されにくいパスワードを設定することです。また、初期設定のSSIDやパスワードは公開情報と一致してしまう場合があるため、なるべく変更しておくことが安全です。

プロトコル ネットワークを支える大事なルール

私たちが普段使っているスマートフォンやパソコンが、世界中のあらゆる機器とスムーズに通信できるのは「プロトコル」と呼ばれるルールのおかげです。プロトコルとは、簡単にいえばネットワークにおける共通の約束事。データをどう送るか、どんな順番で受け取るか、トラブルが起きたときどう対処するか――そうした細かい手順を定めることで、異なるメーカーや異なる環境の機器同士でも問題なくやり取りができます。

ープロトコルの役割ー

プロトコルは「共通言語」のようなものです。人間同士も言葉が合わなければ会話が成り立たないのと同じく、コンピュータ同士も同じプロトコルがあるからこそ通信が成立します。これにより、WindowsからiPhoneへメールを送ったり、海外のサーバーにあるWebページを表示したりといった相互接続が可能になります。

ー基本を支えるプロトコルー

  • IP(Internet Protocol):データを宛先に届ける住所の役割。
  • TCP(Transmission Control Protocol):データを分割し、正しく並べ替えて届ける。信頼性が高い。
  • UDP(User Datagram Protocol):スピード重視で届ける。動画やゲームに向いている。

ーアプリケーションごとのプロトコルー

  • HTTP/HTTPS:Webページ閲覧に使うルール。HTTPSは暗号化で安全性を強化。
  • SMTP・IMAP・POP3:メールの送受信に必要なルール。
  • FTP/SFTP:ファイルをやり取りするための仕組み。

ー管理や安全性を支えるプロトコルー

  • DNS:ドメイン名をIPアドレスに変換する。
  • DHCP:IPアドレスを自動で割り振る。
  • SSL/TLS:通信を暗号化し、盗聴や改ざんを防ぐ。

ープロトコルの仕組みー

通信の世界は階層構造で成り立っています。代表的なのがOSI参照モデルです。アプリケーション層ではHTTPやSMTP、トランスポート層ではTCP/UDP、ネットワーク層ではIPといったように、それぞれの層が役割を分担して連携します。
例えばWebページを開くときには、DNSでサーバーの住所を調べ、TCPで通信を確立し、最後にHTTP/HTTPSでデータをやり取りする――という流れで動いているのです。

目的プロトコル身近な例え
住所を決めるIP郵便の住所
正しく届けるTCP配達記録付き郵便
とにかく速く届けるUDPハガキ(途中でなくなっても気にしない)
Webページを見るHTTP/HTTPS郵便の中身が「Web情報」
メール送るSMTP郵便局から発送
メール読むIMAP/POP3自宅ポストから取り出す
名前を調べるDNS電話帳で名前から住所を調べる

ーなぜ重要なのかー

プロトコルがあるからこそ、世界中どこでも同じ仕組みでデータがやり取りできます。さらに、暗号化や認証によって情報を守り、TCPやUDPといった仕組みで効率的かつ最適な通信を実現しています。まさにプロトコルは、インターネットという「情報の大動脈」を安全かつ円滑に流すための交通ルールなのです。

OSI参照モデルとプロトコルの対応

インターネット通信を理解するうえで欠かせないのが「OSI参照モデル」です。これは通信の仕組みを7つの階層に分け、それぞれの役割を整理したものです。現代のネットワークは完全にこの形を使っているわけではありませんが、プロトコルの位置づけを理解する上でとても役立ちます。


OSI参照モデルとTCP/IPモデルの違いをわかりやすく解説

インターネットで行われる通信は、単なる「データのやり取り」ではありません。実は、複数の階層(レイヤー)が役割を分担しながら、利用者にサービスを届けています。その考え方を体系化したのが OSI参照モデル(7階層) であり、実際のインターネットで使われているのが TCP/IPモデル(4階層) です。ここでは両者を対応させながら、違いを整理してみましょう。


ーOSI参照モデル ― 7つの階層ー

OSI参照モデルは通信の仕組みを理解しやすくするために設計された「理論的な枠組み」です。7つの階層に分かれ、それぞれが明確な役割を持っています。

  1. 物理層:ケーブルや電波を使って0と1を信号に変換する。
  2. データリンク層:同じネットワーク内で確実に届ける(MACアドレスを使用)。
  3. ネットワーク層:離れたネットワークまで届ける(IPアドレスを使用)。
  4. トランスポート層:データを分割・再構成し、正しく届くよう管理(TCP/UDP)。
  5. セッション層:通信の開始・終了や同期を管理。
  6. プレゼンテーション層:データの形式を変換、暗号化や圧縮を実施。
  7. アプリケーション層:Webやメールなどユーザーに直接サービスを提供。

ーTCP/IPモデル ― 実用的な4つの階層ー

一方、インターネットで実際に利用されているのはTCP/IPモデルです。OSIよりもシンプルに設計され、4つの階層にまとめられています。

  1. ネットワークインターフェース層:物理層とデータリンク層を統合。LANやWi-Fiなど。
  2. インターネット層:IPアドレスを使って宛先を決定。ルーティングを担当。
  3. トランスポート層:TCPやUDPで信頼性や効率を制御。
  4. アプリケーション層:ユーザー向けのサービス(HTTP, SMTP, DNS など)。

ー対応関係ー

OSIとTCP/IPを比較すると以下のように整理できます。

  • OSIの 物理層・データリンク層 → TCP/IPの「ネットワークインターフェース層」
  • OSIの ネットワーク層 → TCP/IPの「インターネット層」
  • OSIの トランスポート層 → TCP/IPの「トランスポート層」
  • OSIの セッション層・プレゼンテーション層・アプリケーション層 → TCP/IPの「アプリケーション層」

つまり、OSIは「理論的に細かく7つに分けたモデル」、TCP/IPは「実際に動く仕組みに合わせてシンプルに4つにまとめたモデル」といえます。


ーOSI参照モデルとプロトコルの対応表ー

OSI参照モデル (7階層)役割・機能対応するTCP/IPモデル (4階層)主なプロトコル / 技術例
第7層 アプリケーション層ユーザーに直接サービス提供アプリケーション層HTTP, HTTPS, FTP, SMTP, POP3, IMAP, DNS
第6層 プレゼンテーション層データ形式変換、暗号化、圧縮アプリケーション層 に統合JPEG, MPEG, SSL/TLS, 文字コード(UTF-8等)
第5層 セッション層通信の開始・維持・終了アプリケーション層 に統合TLSセッション管理, RPC
第4層 トランスポート層信頼性ある通信、ポート管理トランスポート層TCP, UDP
第3層 ネットワーク層異なるネットワーク間通信、経路選択インターネット層IP (IPv4/IPv6), ICMP, ARP
第2層 データリンク層同一ネットワーク内通信、誤り検出ネットワークインターフェース層Ethernet, Wi-Fi, PPP, MACアドレス
第1層 物理層ビット列を信号に変換し伝送ネットワークインターフェース層LANケーブル, 光ファイバー, 無線電波

ー各層の役割を簡単にー

  1. アプリケーション層
    • ブラウザが「Webページをください」と要求(HTTPリクエスト)
  2. トランスポート層
    • TCPが「確実に順序通り届くように」小分けして送信
  3. インターネット層
    • IPが「宛先サーバーの住所(IPアドレス)」へ送り届ける
  4. ネットワーク層
    • 実際の物理通信(LANケーブル、Wi-Fiなど)で電気信号や電波として送信

ーポイントまとめー

  • IP = 宛先指定(住所)
  • TCP = 確実に届く保証(書留便)
  • アプリ層 = サービスごとのルール(HTTP/SMTPなど)
  • 物理層 = ケーブル・電波に変換して実際に送る

[ユーザーがブラウザでURL入力]


┌───────────────┐
│ アプリケーション層 │ HTTP (Web通信)
└───────────────┘


┌───────────────┐
│ トランスポート層 │ TCP (信頼性あるデータ送信)
└───────────────┘


┌───────────────┐
│ インターネット層 │ IP (宛先を決定: IPアドレス)
└───────────────┘


┌───────────────┐
│ ネットワーク層 │ LAN/Ethernet/Wi-Fi
└───────────────┘


[サーバーに到達 → 応答が逆方向に返ってくる]

OSI参照モデルは、通信を分かりやすく整理した「地図」のような存在です。実際のインターネットではTCP/IPモデル(4階層)が多く使われていますが、考え方はほぼ同じ。どのプロトコルがどの階層に属するのかを知ると、ネットワークの仕組みを体系的に理解できます。

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